クラミジアと聞くとほとんどの人が性器クラミジアを思い出し、性行為での感染を思い出すことでしょう。
しかしながら、クラミジアが原因となる病気にはクラミジア肺炎という病気があります。
クラミジア肺炎は、クラミジア・ニューモニアという病原体が引き起こす肺炎であり、性器クラミジアを引き起こすクラミジア・トラコマティスとは同じ仲間ではありますが、種類の違う病原体であります。
クラミジア・トラコマティスが引き起こす肺炎もありますが、この場合は鼻炎や結膜炎などが見られ、その後には咳や呼吸困難を引き起こしていきます。
原因としてはクラミジア子宮頸管炎を持つ母親からの産道感染によって引き起こされるものであります。
一方でクラミジア・ニューモニアが引き起こす肺炎は、微熱、鼻汁、乾いた咳、咽頭痛などがあります。
基本的には疲れやストレスなどで体力が低下しているときに起こりやすく、飛沫感染によって感染します。
主に、4歳以下の子どもはクラミジア・ニューモニアに対する抗体を持っていることが低く罹りやすくなっています。
大人の場合は抗体を保有してる割合が60%程度と言われています。飛沫感染が原因であるために、家族内、学校、職場などで集団感染することが多くあります。
潜伏期間も3週間程度であるために、広く広がることもあります。また再感染することもあります。
クラミジア肺炎は滅多に肺炎になることはありませんが、風邪と併発して咳が長く残ってしまう場合もあります。
長引いてしまうと、暑さや寒さ、またたばこの煙などで咳が出やすくなってしまいます。抗生物質で治療をすることが可能ではありますが、自然治癒でも1週間程度で治る人がいます。
しかしながら、10年以上咳に悩まされてしまう人もいます。クラミジア肺炎は飛沫感染が原因のために、簡単に多くの人に感染してしまうことがあります。
さらに単純に風邪や花粉などと間違いやすいことも特徴です。もしも、咳が止まらない場合はマスクなどをして対処をして感染を広めないようにしましょう。
咳の原因となるクラミジア
クラミジアといえば、性行為感染症の一つであり、主に性器クラミジアが一般的に知られています。
しかし、クラミジアは性器に感染する以外に喉に感染し、喉だけでなく、肺炎を引き起こしてしまうこともあります。
クラミジアが原因によって喉の痛みや咳を起こす原因としては2つあります。1つめは、咽頭クラミジアであります。
これはクラミジアに感染している人とのオーラルセックスやディープキスなどによって性器にあったクラミジアが喉に感染することです。
軽いキスなどでは感染する恐れは殆どありませんが、舌が接触したり、粘膜への接触がある場合には感染します。
咽頭クラミジアに感染しても、感染するウイルスの数が少なく、その進行速度もゆっくりなので症状が出ることがあまりありません。
症状としては、喉の腫れ、咳、軽い発熱、リンパが腫れるなどがあります。咽頭炎や扁桃炎などの原因になることもありますが、かなり少数です。
そしてもう一つクラミジアが原因となって喉の痛みなどを引き起こすのはクラミジア肺炎などがあります。
これは性器クラミジアがクラミジア・トラコマチスを病原体とするのに対して、クラミジア・ニューモニエという病原体が引き起こす感染症です。
クラミジア肺炎は呼吸器感染症として、38度以上の高熱、鼻水・はなづまり、喉の痛みなどを引き起します。
そして、上気道炎や扁桃炎、咽頭炎、急性気管支炎、急性肺炎などを引き起こしていきます。クラミジア肺炎の感染経路は飛沫感染がほとんどで、つばや咳、鼻水を介して感染します。
殆どの場合が子ども、高齢者などに見られていますが、疲れていたり、体力が低下していると大人でも感染します。
治療方法としては性器クラミジアとどうように抗生物質を投与し、その病原体の繁殖を抑えていきます。
クラミジア肺炎は非常に繁殖率が高いために、10日から2週間ほど服薬を持続しなければなりません。性器クラミジアと同様に途中で辞めてしまうと再発してしまう恐れがあります。
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クラミジア肺炎の検査
肺炎クラミジアは小児科の領域ではもっともよくあるクラミジアです。
その理由としては感染経路が飛沫感染であり、さらに潜伏期間も3週間から4週間と長いために、感染した状態で学校や家庭などでさらに広めてしまう可能性があるからです。
さらに一度治療をしても終生免疫ではないために何度も感染してしまう可能性もあるからです。
クラミジア肺炎の検査は主に胸部レントゲン、胸部CT、血液検査、喀痰検査、検尿検査などがあります。
しかし、胸部CT検査はあまり用いられず、主に胸部レントゲンともしレントゲンの際に肺炎が見られた場合は、マイコプラズマ肺炎に似ているので、血液検査も行います。
クラミジア肺炎には2種類ありますが、クラミジア・ニューモニア肺炎の場合は、胸部レントゲンの陰影の分布は中下肺野に多く見られますが、それ以外でも複数の部位に見られることがあります。
しかしながら、クラミジア肺炎の場合は軽度である場合が多く、間質性陰影が主に見られるが、実質性陰影を呈する場合もあり、特徴的な所見はありません。
クラミジア肺炎の血液検査では体内の抗体を調べていきます。クラミジア肺炎が体内に入ってきた際には免疫細胞が抗体を作り出しているので、抗体の検査を染ます。
抗体検査では、単独の検査ではなくペア血清での検査を行います。しかし最初の検査で異常高値を示した場合にはその時点で確定診断とすることもあります。
診断基準としてはIgGかIgAという抗体が3以上を示した場合か、IgMという抗体で子供の場合は1以上、大人の場合では1.6以上を示した場合に、クラミジア肺炎と診断されます。
確定診断の場合は2週間後に2度目の検査を行い、IgA、IgG抗体の値が上がっていると感染していると確定されますが、実際には1度目の検査でクラミジア肺炎と診断をされます。
クラミジア肺炎は自然治癒によって治ってしまうこともあり、検査をしない場合もあります。
もしも、咳が残る、喘息のような症状が見られるが風邪薬などで治らない場合は、検査を受けて治療をしてみると良いでしょう。
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クラミジア肺炎の治療
クラミジア肺炎は自然治癒をしてしまうこともあり、さらに症状が風邪に似ていたりあまり強くでないこともあり、感染していることに気がつかないこともあります。
しかしながら、小児科などでは一番見られるクラミジアはクラミジア肺炎であり、しっかりと直さなければ最悪の場合には結膜炎を引き起こし呼吸障害が起きてしまう場合があります。
クラミジア肺炎の予防はしっかりとしたうがいや手洗いであり、そして体力の低下を防ぐことがもっとも有効であると言われています。
4歳以下の子供はクラミジア肺炎に対しての抗体を持っている人が少なくかかりやすいほか、高齢者も体力や免疫力が低いためにクラミジア肺炎に罹りやすいと言われています。
クラミジア肺炎は罹ってしまうと、咳、微熱、喉の痛み、鼻水などの症状がでます。こうした症状が出た場合には抗生物質を使用して治療をして行きます。
主に使用する抗生物質はマクロライド系、テトラサイクリン系の抗生物質を使います。マクロライド系ではジスロマックやクラリス、テトラサイクリン系ではミノマイシン等があります。
その他にもニューキノロン系の抗生物質であるオゼックスなどが使用されます。これらの抗生物質を10日間から2週間ほど服用することで治療をして行きます。
気をつけなければならないのはテトラサイクリン系の抗生物質は8歳以下の子供に長く使用してしまうと黄色歯牙を起こしてしまったり、骨の形成に影響をきたしてしまう場合があるそうです。
そうした副作用なども考えるとマクロライド系の抗生物質などの点滴をし、授乳中の母親などにも同様の薬を処方するのが望ましいとされています。
クラミジア肺炎はこのようにしっかりと抗生物質を投与することで治療が可能です。しかし、一度治ったとしても終生免疫ではないので、再び感染してしまいます。
感染を防ぐためにも、しっかりとした手洗いうがいなどの予防と、体力が弱っていると感じた場合は十分な睡眠と人混みを避けるようにして感染をさけるようにしましょう。
クラミジア肺炎にはジスロマック
性器クラミジアは性感染症でありますが、クラミジアには呼吸器感染症としクラミジア肺炎もあります。
性器クラミジアとは病原体が違い、クラミジア・ニューモニアという病原体が原因となって引き起こします。
このクラミジア肺炎の治療に用いられる薬にはジスロマックという抗生物質が用いられます。
性器クラミジア同様に、クラミジア肺炎も抗生物質での治療が必要となります。しかし、クラミジア肺炎は健康な大人であれば感染することは少なく、乳幼児や高齢者、また大人であっても疲れていたり、免疫力が低下してしまうときには感染してしまいます。
クラミジア肺炎に感染すると、微熱、鼻汁、咳、咽頭痛などがあります。そのような症状を抑え、クラミジア・ニューモニアを除菌するためにジスロマックを使用します。
ジスロマックはマクロライド系の抗生物質でクラミジア・ニューモニアなどの細菌のタンパク質合成を阻害します。細菌も増殖する際にはタンパク質が必要となります。
ジスロマックはヒトのタンパク質合成には作用しませんが、細菌のタンパク質合成のみに影響を与え、細菌の半焼きを抑えてくれるさようがあります。
主に細菌感染症を治療する薬として用いられています。クラミジア肺炎の他にも、マイコプラズマ、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ、化膿レンサ球菌などにも作用するために、非常に幅広い細菌の治療に用いられています。
ジスロマックは組織に移行する特徴のある非常に強い薬で、薬を服用した後、血液の中で存在する濃度よりも10倍から100倍に近い濃度で各組織にとどまっていきます。その為に、非常に効果が長く続きます。
そうした特徴があるので、普通の抗生物質は1日2、3回の服用を1週間程度続けていきますが、ジスロマックは1回の投与で薬1週間程度効果が持続するという特徴があります。
性器クラミジアもそうですが、治療が長くなってしまうと薬の飲み忘れや症状の改善が見られたからと言って、服用を辞めてしまう場合がありますが、ジスロマックは1回飲むと1週間持続するという特徴からも多くの医療機関などで使用されています。
子供のクラミジア肺炎
クラミジア肺炎は主に乳児、幼児などの子供と高齢者によく見られています。
これは主に4歳以下の子供の場合は、クラミジア肺炎であるクラミジア・ニューモニアという病原体に対する抗体が体の中にできておらず、クラミジア肺炎になりやすいということがあります。
しかし、成人になるとその割合が上がっていき60%程度の大人が抗体を持っていると言われています。
しかし、老人になると免疫力や体力が衰えてしまうので、クラミジア肺炎に罹りやすくなると言うのです。
クラミジア肺炎の症状としては連続的に咳をすることが特徴的です。夜中から明け方に連続して発作のような咳が出ます。
高熱が出ることはすくなく、微熱が続き、寝ている間に咳と共に寝汗を掻きます。
喘息と同様の症状のために病院で喘息と診断されることもありますが、咳が長引くときにはクラミジア肺炎であることもあります。
また、長引いた場合には気温やたばこの煙などでも咳が出やすくなってしまい、通常であれば1週間程度で症状が治まるところを10年以上咳が治まらない場合もあります。
また酷くなると気管支喘息や喘鳴として残ってしまうこともあります。
クラミジア肺炎の治療には、軽症である場合はマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質を2週間ほど服薬します。
乳幼児などの場合はマクロライド系抗生物質を使用します。上記の通り長引いてしまったり、再発することもあるために、2週間から3週間に渡って薬を飲むこともあります。
症状が重い場合にはテトラサイクリン系抗菌薬の点滴静注をします。しかし、テトラサイクリン系薬は乳児、新生児に対しては投与しない。
これは、黄色歯牙を形成したり、骨の発育障害などを起こしてしまう危険性があるためです。
子供で症状が重い場合にはエリスロマイシンの点滴静注が望ましいとされています。その際に、授乳中の母親であれば、母親にも治療を行うがその場合はマクロライド系の薬が望ましいと言われています。
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