HIVの主な感染源と感染経路

日本では2012年末の時点でHIV患者数は約14000人、そしてエイズ患者数は約6700人いると言われています。

さらに先進諸国の中では珍しくその感染者は増加傾向にあり、エイズ患者数は横ばいとなっています。

穏やかではありますが、感染者が増加するにはその感染源や感染経路に問題があると言われています。

そもそもHIVの感染源はチンパンジーが持っていたサル免疫不全ウイルスであると言われています。そのウイルスが変異してヒト免疫不全ウイルス(HIV)となり人間に感染しました。

そして、チンパンジーから人間へ何らかの接触で感染していったといわれています。こうして人間に感染したHIVですが、人間同士で感染し合う感染経路は大きく分けると3つあると言われています。

まず一つ目は、性行為感染です。これは世界で最も多い感染経路です。HIVは血液、精液、膣分泌液、唾液、母乳、尿、涙等の体液を介して感染していきます。

性行為感染がもっとも多くあるのは、精液や膣分泌液は血液と同様にHIVが多く含まれているためです。

またここ最近で増えている性行為感染の中には男性同士の性行為によるHIV感染が増えてきています

これは肛門性行為が多くあり、その場合皮膚などの組織を傷つけやすく、さらにコンドームなどの使用をしない人が多いために感染の可能性が高まってしまうのです。

こうした社会的な背景もHIV感染には大きく関わっています。

性行為感染以外で多くある感染経路は血液を介しての感染です。これは、麻薬などを注射器によって使用する時に使い捨てずに使い回ししてしまうことが原因となります。

その他に血液を介しての感染は輸血による感染もあります。

現在では輸血用血液からの感染はまれではありますが、絶対にないとは言い切れません。

実際に平成10年に厚生労働省から平成2年に輸血を受けた人がエイズに発症した例が1例あると報告されています。

薬害エイズ問題などで大きく取り上げられた血液凝固因子製剤は、1980年前半以降は加熱処理が行われており、その可能性はなくなりました。

その他の感染源としてはHIVに感染している母親から子どもへ感染する母子感染などがあります。

しかしながら、母親から母乳をあたえない、また薬を母親が飲むことでその可能性を0.4%以下に抑えることが出来るといわれています。

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目次

HIV感染者数の動向

厚生労働省エイズ動向委員会の調べによると2013年における日本国内のHIV感染者数は23015人となったことがわかりました。

昨年から新規でHIVに感染していた人は1106人となり2008人の1126人に次ぐ2番目に多い数字となりました。

2012目年は1002人と2007年以降はじめて1000人を割りそうになりましたが、想像以上に多い結果となりました。

新規のHIV感染者数が過去2番目の多さだったのに大して、エイズの新規感染者数は過去最も多く484人となりました。

昨年よりも約100人ほど多い新規感染者の年齢別の割合では30代が370人ともっとも多いものの、既に感染している患者では50代以上がもっとも多い結果となっており、1980年の薬害エイズ問題などの関連も現れた結果ではありますが、実はここ3年間での患者数の伸び率が高いのは50代の人で若い人だけが気をつけるべき病気ではないということもわかっています。

新規でHIVに感染した人の内訳としては、1106人中日本人男性が963人と最も多く、続いて外国籍の男性、日本人女性、そして外国人女性となっています。

これは新規のエイズ患者も同じであり、日本人男性の新規エイズ患者数は438人となっています。

最も感染者の多い日本人男性の感染経路としては、同性間の性的接触、異性間の接触による感染が最も多くなりました

HIVは早期発見、早期治療がもっとも重要な病気です。初期症状の時に治療ができればエイズの発症を防ぐことも可能な時代となっています。

相談件数は14万5401件と、2008年に比べると大幅に減ってはいますが、早期発見、早期治療が重要ということが広まっているために、保健所などでHIVを検査する検査数は2012年よりも5千件ほど増加し、13万6400件となっています

HIVは感染しても初期症状が終わってから潜伏期間が非常に長く次に気づくときには取り返しが付かない状況になっていることがほとんどです。

さらに、性行為の低年齢化や性に関する恥ずかしさや知識のなさも手伝ってHIVに関して気をつけることが少なくなってきています。

それだけに、匿名で受けることの出来る検査などを受けられることをより広めていくことが進められています

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男性のHIV感染率は高い

HIVの感染経路で現在もっとも多い経路は性行為感染であります。異性間または同性間などに限らずに感染する危険性はあります。

しかしながら、同性間と異性間ではHIVウイルスが感染する確率が違ってくるのです。

女性から男性にHIVが感染するよりも男性から女性に感染する確率が高くなっています

実際に異性の性的感染確率は男性の場合は0.05%で女性の場合は0.1%と2倍も高くなると言うことが発表されています。

これは、男性の方が分泌するHIVの濃度が高いことに起因していると言われています。

女性の方が男性に比べてHIVに感染しやすいことは研究の結果から明らかとなっていますが、HIVに感染した人の原因の割合を見ると、男女間での性行為感染が20%となっているのに対し、同性間での性行為感染症の割合は66%となっています。

男性よりも女性の方がHIVに感染しやすいとはわかっていますが、実際には男性の方が感染する機会や確率は非常に多いと言うことが言われています。

実際に日本国内におけるHIVとエイズの感染者数は平成26年3月末の調べで、日本人男性は18164人、日本人女性は1186人となっており、その数は約15倍となっています。

なぜこれだけ男性の方がHIVの性的感染率が高いのでしょうか。それには3つの理由があると言われています。

まず一つ目は男性同士の性行為においては肛門を使うことが多くあります。肛門は性行為を行う器官では元々なく、女性の膣などに比べて非常に繊細であり、表面が傷つきやすくなっています

そのために、傷ついた傷口からHIVウイルスが入る機会を増やしてしまっているのです。

もう一つは、男性同士での性行為のためにコンドームを使用しないことが多いと言うことも原因です。

異性間とは違い妊娠の危険性がないためにコンドームは不要であると考えている人が多いのです。

コンドームをしていれば、HIVの感染を防ぐこともできますが、元々HIVを濃く含む男性の分泌液なのでより感染してしまう確率を上げていると言えます。

最後の理由としては日本では同性愛者への考え方の偏見などがあり、HIVに対しての検査や相談にいきにくい状況があります。そうした社会的な問題も含めてHIVの対策をして行く必要があります。

世界と日本のHIV感染率

アフリカ南部にあるスワジランドという国名を耳にしたことのある人はほとんど聞いたことがありませんが、実はこのスワジランドは世界で最もHIV感染率が高い国なのです。

2013年にはその感染率は27.4%となっており、国民の3人に1人がHIVに感染しているという国となっています。

成人の感染率は31%、30~34歳の女性では54%、35~39歳の男性では47%という高さになっています。

スワジランドは一夫多妻制であり、独特の分化や風習があり、避妊や検査を悪く見ている風習があるためにこのような高い数字となってしまっています。

スワジランドの他にも感染率の上位に来るのはアフリカがほとんどですがその他の地域に目を移すと、北アメリカでは120万人、中南米では170万人、西ヨーロッパは73万人、東ヨーロッパと中央アジアには150万人いると言われています。

日本を含む東アジアは74万人となっています。日本は約1億2000万人の国民に対し、HIV患者は2万3000人と言われているので、約0.0002%となっています。

2013年の厚生労働省、エイズ予防情報ネットの発表によれば、約2万3000人いる日本国内でのHIV感染者数はもっとも多いのが関東・甲信越地方で43.1%、続いて近畿地方で20.3%、東海地方16%、九州・沖縄地方8.6%、中国・四国地方5.9%、北海道・東北地方4.8%となっています。

都道府県別で見るともっともHIV感染者数が多いのは東京で、そして神奈川県、千葉県、茨城県、大阪府なども多くのHIV感染者がいる都道府県となっています。

人口が多い場所ほど感染者数が多くなっていますが、これは風俗などのお店の多さや、同性が出会うための機会が多くあるなどの原因もあると言われています。

日本のHIVの感染経路でもっとも多いのが同性間での性行為感染であり、特に男性同士で感染し合うことがもっとも多くなっており、感染者数が増えている原因となっています。

全世界のHIV感染率は0.8%となっており、日本の0.0002%は非常に低い数字であります。

しかしながら海外旅行などに行く機会があったり、外国人と日本国内でも接することが多くなってきている現代では、この数字が増えないとは限らないようです。

HIV感染と風俗

HIVの感染経路としてもっとも多い経路は性行為感染です。その性行為をビジネスとしている風俗店などではHIVに感染しないようにと風俗嬢に検査をさせているところもあるそうです。

有名なお店では1ヶ月に1度、検査キットによる検査をしっかりとしているのだそうです。

しかしながら、全部のお店がこのようにしっかりと対策をしているわけではなく、むしろ大半の風俗店ではしていないか、風俗嬢自身に委ねているところが殆どでしょう。

風俗店に務めている風俗嬢は基本的に1日に何人もの人の相手をしています。

そのために、例えばHIVの検査をしたとしてもHIV抗体は感染してから3ヶ月後にでるために、その3ヶ月間はまた危険に身をさらさなければいけなくなってしまうのです。

それだけに例えば検査をしていたとしても安全性の高さには疑いが残ってしまいます

風俗店でのプレイとしては基本的に生での本番行為はありません。コンドームをつけて行えるお店もありますが必ずしもそれだけで感染率を下げられるとは限りません

なぜなら、スマタやオーラルセックスをすることがメインとなってきますが、人気の風俗嬢であればそれこそ1日に何人もの相手をします。

そうすることでHIV感染者の男性と接している確率は高くなります

スマタなどは女性器に挿入しないので、感染の確率が低いと思われていますが、女性の体についた男性の内分泌液がそのまま残っているような衛生環境が整っていなかったり、手に切り傷などをしている女性が内分泌液にそのまま触ってしまった場合は、性行為がなくてもHIVに感染してしまう可能性はあるのです。

オーラルセックスをメインとする風俗店で、もしもHIVを持つ男性の内分泌液が風俗嬢の口内に残っていて自分に伝わってしまう、もしくは風俗嬢が喉などにちょっとした傷があったりしたらHIVに感染していて、そのままの状態でサービスをしていたとすれば感染してしまう可能性は低くはないのです。

また性病を持っている風俗嬢が少なくないのも事実で、このこともHIV感染率を上げている理由の一つとなります。

これは風俗に行く人、また風俗嬢が性病に感染している場合、炎症が起きてしまっているのでHIVに感染する確率が5倍近くまで上がってしまうのだそうです。

プライベートでする人にもこれは言えることですが子どもを授かりたいという理由などがなければコンドーム無しでの性行為は、その他の感染症にかかる危険性なども大変高く気をつけなければいけないことであると言えます。

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